物流センターの所長が、「気をつけよう」をやめて、点検表を作った話
注意喚起の貼り紙は、十枚あった。ミスは、減らなかった。
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情報システム部の部長、青山は、役員会の帰りに、廊下で、立ち止まった。
営業から、システムの改修の依頼。
総務から、勤怠の、仕組みの変更。
経営企画から、新しい、分析基盤。
どれも、断れない。
青山は、会議室に、戻って、部下の、課長に、言った。
「全部、お願いしたい」
課長は、無言で、頷いた。
その背中に、疲れが、見えた。
青山自身も、苦しんでいた。
三つのうち、どれを、選べばいいか、分からない。
選ぶと、残りの、二つの部署から、責められる。
選ばないと、現場が、パンクする。
その夜、青山は、居酒屋で、先輩の、元役員に、打ち明けた。
「全部、大事で、選べないんです」
元役員は、ビールを、置いた。
「選ぼうとするから、苦しい。先に、やらないことを、決めなさい」
青山は、顔を、上げた。
「どうやって」
元役員は、紙に、三つ、書いた。
目的に、近いか。待てるか。自分たちの、強みか。
「全部、この三つで、見る」
翌日、青山は、三つの、依頼を、並べた。
営業の、改修。目的に、近い。待てない。強みも、ある。
総務の、勤怠。目的に、遠い。待てる。外部の、サービスで、代替が、きく。
経営企画の、分析基盤。目的に、近い。待てる。強みも、ある。
青山は、判断した。
営業の、改修は、続ける。
分析基盤は、三か月、後に、回す。
勤怠は、外部の、サービスを、検討する。
総務に、伝えた。
「勤怠の、仕組みは、今期は、外部サービスの、検討から、お願いしたい。理由は、基準に、照らして、他の二つが、優先だからです」
総務の、部長は、少し、不満そうだった。
ただ、基準を、聞いて、頷いた。
「分かった。来期に、再協議だな」
三か月後、分析基盤の、着手が、始まった。
営業の、改修は、予定通り、完了した。
課長が、言った。
「部長、最近、仕事の優先順位が、はっきりしました」
青山は、手帳に、書いた。
全部は、できない。やらないことを、決める。
その下に、足した。
止めるのは、期間限定。理由を、必ず、伝える。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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注意喚起の貼り紙は、十枚あった。ミスは、減らなかった。
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